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うちの薬局の良いところは?悪いところは?

薬局売却のファーストステップ。
事業の利点・欠点をまとめる。

2021/07/13

ご自身の薬局を売却したいとお考えの際には、その買い手のことを想定することが大事になります。
いま薬局を買おうと思っている会社はどのような会社でしょうか? それは市場・業務の拡大を見込んでいる元気な企業と言えます。彼らはさまざまな候補がある中で自身の業務・利益の拡大に貢献しそうな魅力のある薬局を求めています。
そんな買い手に対し、自社を魅力的に写すために、アピールポイントを整理しましょう。

アピールポイントと言ってもパッとは浮かばないかもしれません。考えられる例を挙げていきますので、参考にあなたの薬局の魅力を見つけてください。

【物件・立地の魅力】

  • 駅から徒歩5分で人が来やすい
  • 駅や通りから見やすい位置にある
  • 車通りの多い道路に面して駐車場がある

物件や立地が好条件であることは非常にアピールしやすいポイントになります。
業種が違う場合でも物件や立地についてはよく言及されますので、不動産広告や求人広告などにある文言を参考に考えてみてください。

【優秀な従業員がいる】

  • 薬剤師、従業員は、処方元の先生やスタッフとコミュニケーションが取れている
  • 薬剤師、従業員は、患者様から信頼されている
  • 離職率が低く、経験豊富な従業員が多い

あなたの薬局で働く従業員や薬剤師の良いところもアピールできる要素です。 薬局は『調剤』という専門的なサービスを提供するものなので、従業員の資格保持状況など専門的な観点でのポイントもまとめておくと良いでしょう。また、薬局は接客業という面も需要ですので、患者様や処方元の方々とのコミュニケーションに自信があるようでしたら、この点もアピールポイントになると考えられます。

【実績】

  • 開局して10年継続して収益を上げられている
  • 年を経るごとに売上が上がっている

実績は売上や収益という確実な数字の裏付けがあるので、もっともわかりやすいアピールポイントといえます。 単純に収益や売上というだけでなく、「慢性疾患に対する売上や収益がよい」ということであれば、今後も手堅いと想像できますし、「ある疾患向けの売上が突出して高いわけでなく、さまざまな疾患の取扱がある」のであれば、リスクに強いと考えられますので、これまでの実績を分析してみることをオススメします。

【周辺医療機関の状況】

  • 周辺には医療機関が多いため、他医療機関の処方箋も受けている
  • 施設処方を受けている
  • 処方元ドクターの年齢は若く、意欲がある

調剤薬局は医療機関からの処方があってはじめて事業として成り立つので、周辺の医療機関の状況や関係性は極めて重要といえます。 「規模が大きい医療機関がある」「医療機関が多い」というのは明らかなアピールポイントになりますが、競争が激しいと受け取られるかもしれません。 そこで近隣施設との連携や関係性、そして将来性などにも目を向けて利点となる要素も探してみてください。

欠点

アピールポイントについては以上となりますが、良い部分だけを掲示するだけでは足りません。問題点や欠点、リスクの掲示も必要となります。
始めに魅力的な点ばかり掲示して話を進めていき、問題点が後からわかるようだと相手との信頼関係が崩れてしまいかねません。事業の売買は大きな取引となるのですから、早い段階でしっかりと開示していくべきでしょう。

悪い点を明かすのには誰でも気が進みません。ですが、順風満帆に事業展開しているように見える上場企業にも問題や懸念点が存在し、IR情報などに掲示されています。いかなる会社にも何らかの問題があるのは当然ですので、自身の事業を冷静に見直してみてください。

多くの場合、ウィークポイントは先に挙げたアピールポイントが悪い方向に出た場合です。立地や物件に関しては「駅や大通りから遠い」「わかりにくい場所にある、店舗が目立たない」などがあるかもしれませんし、「新人や若手が多い」「残業が多い」などの従業員や働き方の問題点も挙げやすいかと思います。

また、良い点を逆の観点でみるとウィークポイントになる場合も考えられます。「駅から近い」ということは他業種も含めた店舗が多くて目立っていない可能性もありますし、「離職率が低く、経験豊富な従業員が多い」場合は、組織の新陳代謝が悪く保守的と言えるかもしれません。

それらに加え、自分が事業を行っている時には問題だと考えられないものもあります。例えば「営業時間が長い、遅くまで営業している」となると、その分人件費コストがかかっていることになります。「土地や建物が自社物件」であれば担保物件としても使えて自身で運営する際には良いことの方が多いでしょう。しかし、事業売却時には不動産をどうするのかを考えなくてはなりません。買い手は事業に魅力を感じて譲り受けたいとは思うでしょうが、土地や建物には興味がないかもしれません。このような観点も参考にして事業の問題点やリスクを検討してみる必要があります。

まとめ

ポイントをまとめますと、次のようになります。

  • 買い手の想像
  • 買い手に対して魅力的に写るアピールポイントをまとめておく
  • 信頼関係を崩さないために欠点についてもまとめておく

以上、いかがでしたでしょうか。エントラでは、このようなアピールポイントの検討もお手伝いしますので、もしご検討にお困りでしたら、お気軽にご相談ください。

M&Aコンサルタント中島 幸平

新店舗立ち上げを含めた調剤薬局勤務12年の経験と、その後の事業継承コンサルティングとしてのキャリアから薬局業界を知り尽くしています。
現場と経営のすべての関係者に喜ばれるコンサルティングを致します。