新たなマーケティングツールとして注目度の高いLINE

LINEって薬局でも使えるんですか?

2021/08/26

ファーストフードチェーンから個人経営の飲食店、コンビニやスーパーなどがLINEを使って顧客とつながっており、このアプローチ手法はさまざまな業種にどんどんと広まっています。診療予約をLINEで受けつけるクリニックなども増えており、医療分野にも進出しているLINEを薬局で利用するのはどうなのかを考えてみました。

すでに利用することが当たり前になっているLINEですが、元々は個人間のメッセージをやり取りするメールやSMS(ショートメッセージ)に変わるサービスとして登場しました。吹き出しで表現されるメッセージで、まるでおしゃべりをしているかのようにコミュニケーションを取ることができ、スマートフォンと相性が良く、肩を並べるように同時に普及し日本国内での利用者数は8,800万人と人口の6割以上となっています。

先にも述べたように、主に個人間のやり取りに使われるLINEですが、企業が顧客とLINEで繋がっていろいろなサービスを提供できる「LINE公式アカウント」というマーケティングツールがあります。店舗や企業が利用しているのはこの「LINE公式アカウント」です。

それでは、LINEを使ったコミュニケーションについて利用者(患者)・薬局双方のメリット・デメリットについて考えてみましょう。

LINEを利用する患者・薬局の
メリット・デメリットは?

患者のメリット

  • 薬局で待つ時間が減る。
  • 家の近くの薬局で受け取ることができる。
  • 仕事帰りのタイミングなどで受け取ることができる。
  • 使い慣れたLINEなので簡単。

LINEでお友達登録した人向けにLINEを利用して処方箋を受けつけるサービスを提供することが可能となります。処方薬が準備できたことをLINEで連絡すれば、薬局でお待ちいただくことがなくなります。

このような一般の店舗でも行われている注文・予約機能は利用者側の自由度を飛躍的に高めます。

患者のデメリット

  • 処方された薬が薬局にあるとは限らない。
  • LINE対応がスムーズにいかない可能性も

一般店舗のネットを経由した予約や取り置き等の場合は在庫を掲示してそこから選ぶようになっていますが、処方箋は医師の書いたものをそのまま薬局に持って行くため、在庫状況はわかりません。薬局に処方された薬がない場合もあります。薬局が処方箋を確認してから注文するようだとタイムラグが生まれ最悪、薬を飲めない日が発生するかもしれません。 また、LINEのビジネス利用は近年始まったことですし、ごく最近始めた店舗も多いと思われます。マニュアル等が用意されてない中ではちょっとしたことでトラブルが起き、スムーズに事が進まない可能性もあります。

薬局のメリット

  • 遠方の処方箋の獲得
  • 事前に準備ができる(不足の薬があった場合も対策が取れる)

患者側のメリットにある通り薬局選択の自由度が高まりますので、通院 先と 居住地や勤務地 が遠いような患者は近場の薬局を利用するようになると考えられます。これによって、遠方の処方箋を獲得 できるようになります。また、処方箋の入手から処方薬を患者に手渡すまでの時間を薬局側でハンドリングしやすくなりますので、ここも大きなメリットと言えます。

薬局のデメリット

  • 取扱のなかった薬を取り扱う必要が出てくる。
  • LINEへの対応で業務が煩雑化する

新規の患者が増えるのはうれしいことですが、これまで取扱のなかった薬を仕 入れなければならない場合があるかもしれません。また、LINE経由で 獲得した患者がリピーターになるとは限りませんので、珍しい薬の処方であれば在庫管理 に影響 があるでしょう。

こういう事態を防ぐ ためにも、ある程度の 頻度でLINEでのやり取りを行い適度にコミュニケーションを促す取り 組みを行う必要となりますが、LINE利用前にはない業務となりますので、マニュアル化などを進めて効率化する必要があります。

実際、LINEは利用すべき?

ここまでの話で「薬局でもLINEを利用してもいいかなぁ。」程度の認識になった人も多いかと思いますが、「処方薬を買う人の多くは高齢者なので、まだ対応しなくても良いだろう。」との考えもあると思います。 しかし、実際はどうでしょうか?データを見てみましょう。

通院者率世代別

10代 14%
20代 15.7%
30代 21.7%
40代 28.7%
50代 42.8%
60代 58.6%
70代 70.6%
歯科や眼科もカウントしている為、若年層でも若干数字は高い

確かに世代別の通院者の割合は年齢が上がるごとに増え60代で約6割、70代では7割となり、この人達が処方薬の多くを購入していると考えられ、想定は正しいと言えます。

LINEの利用者数世代別

10代 94.6%
20代 92.9%
30代 89.8%
40代 83.8%
50代 79.8%
60代 74.3%
70代 62.9%

LINEの利用者も予想通り、年齢が上がるごとに減っていきます。しかし、70代でも6割以上、60代では7割以上とかなりの人達が利用しています。これだけでもLINEを活用することで売上アップが見込めると考えられますが、今後LINE利用率約80%の50代が60歳、70歳になるに連れLINEを利用している患者数は確実に増えますので、早めのLINE利用を考えるべきでしょう。

M&Aコンサルタント中島 幸平

新店舗立ち上げを含めた調剤薬局勤務12年の経験と、その後の事業継承コンサルティングとしてのキャリアから薬局業界を知り尽くしています。
現場と経営のすべての関係者に喜ばれるコンサルティングを致します。